もくじ
牽引療法とは?
牽引療法とは,整形外科や接骨院,整骨院,整体院などで主に首や腰の治療に使われる物理療法の一種です。
やり方は,腰痛症では上体を固定して骨盤を牽引,引っ張るという単純なものです。
首の場合もほぼ同じ原理で牽引します。
牽引療法の治療目的とは?
では,腰椎症の場合,骨盤を引っ張って何が変わるのかと言うと,腰の痛みを感じる箇所は何らかの原因で他の部位より負荷がかかっていて,それにより骨と骨の間が狭くなり,それが原因で痛みを出してるという考えがあります。
また,骨と骨の間にある椎間板というクッションの役目を果たしてる柔らかい組織があるのですが,上記のように骨と骨との間が狭くなり,それを長期間放置していると椎間板が背骨の後方に押し出され,神経を圧迫し腰の痛みだけでなく臀部や足の痛みやしびれを生み出します。
これが,俗に言う腰椎性椎間板ヘルニアです。
腰の痛みも椎間板ヘルニアも骨と骨の間が狭くなってるのが原因だから,引っ張って狭くなった隙間を広げてあげましょうというのが牽引療法の目的です。
牽引療法は効果あるの?
では,この牽引療法が果たして効果があるのかと言うと・・・
理学療法会のある資料を見てみると,治療効果は期待できない,もしくは一時的な効果しかないとなってます。
さらに調べてみるとヨーロッパの慢性腰痛治療のガイドラインでも牽引療法の評価は低く,治療として推奨しないとされています。
参考 ヨーロッパにおける慢性腰痛に対する体に負担の少ない治療のガイドライン(ページ上部の表より)ダイヤモンド・オンライン
当店でも牽引療法は一切行っていませんし,個人的には上記のガイドラインと同様に効果がないと考えています。
当店が考える牽引療法の効果が期待できない理由とは?
では,牽引治療が効果がないと考える理由についてですが,牽引療法のように上体を固定して骨盤を引っ張るということは,背骨全体を引っ張ることになります。
こうして引っ張ることによって骨と骨との狭くなった隙間が,広がれば良いのですが,狭くなったところというのは大いにして正常な部分より固くなっています。
そのため,背骨全体を引っ張ると狭くなった部分が広がらず,柔らかい正常な部分が伸びることになり,良くなるどころか悪化することがあるのです。
牽引療法は血管や神経に悪影響を与えることもあるのです。
また,引っ張られて伸びるのは骨だけではありません。
血管や神経なども伸ばされることになります。
ストレッチのところでも書きましたが,血管は伸ばされると細くなって血流が悪くなります。
また,神経は引っ張られることに弱く,特に牽引療法は神経の中でも樹で言う幹に当たる中枢神経を引っ張るために広範囲にダメージを与えることもあり,牽引療法後にめまいを起こしたり立てなくなったりする事が起きたりもします。
これだけ身体に悪影響を与えかねない牽引療法が未だに多くの病院や治療院で行われてるのは謎ですが,今どこかの治療院で牽引治療を受けてる方はくれぐれもご注意ください。