先日,ある患者さんとこんな会話がありました。
「昨日まで他の整体へ行っていたんですが,そこでは『あなたの背骨は右の方にズレて,そのまま固着していたので治しておきました』と言われました。」
「へぇー。右にズレているって,レントゲンでも撮ったんですか?」
「いえ,そういうことはしてないです。」
「では,どうして右にズレているとわかったんですか?」
「先生が手で触ってわかったそうです。」
こういう話をよく聞きますが,いつも思うのは
触って左右差を感じたら,それは骨がズレていることになるんでしょうか?
整体などでは,背骨を触って,
「こちらにズレています。」
「この骨が歪んでます。」
などと説明されることがあります。
しかし,
手で左右差を感じた=骨そのものがズレている
とは限らないんです。
なぜなら,
人間の骨はもともと完全な左右対称ではないからです。
2024年に発表された胸椎の研究では,
T1~T6の348個の椎骨を調べたところ,
棘突起が左右へ偏位しているものが,
各椎骨のレベルによって19~41.4%確認されています。
さらに人単位で見ると,
58人中45人,約77.6%に少なくとも一つの棘突起の偏位が認められました。
つまり,
触って骨が右に出ているように感じても,
それは「ズレた」のではなく,もともとの骨の形かもしれない
ということなのです。

腰椎でも同じような報告があります。
2023年に掲載された研究では,
腰椎の棘突起の長さに左右差があったものが72.4%,
横突起では90.6%でした。
要するに,
触って左右差があるからといって
「あなたの背骨は右にズレています。」
と断定するのはかなり無理のある話なんです。
なぜなら,
本当にズレなのか?
もともとの骨の形なのか?
触っただけでは区別できないからです。
もちろん,
触診そのものを否定しているわけではありません。
当店でも身体を触り,
筋肉の緊張や左右差,
施術前後の変化を確認します。
ただ,
「ここが硬く感じる」
「左右で違って感じる」
ということと,
「骨がズレている」
とは断定できないと思います。
「あなたの骨はズレてる」
とか
「歪んでる」
と言われて不安になってる方もいると思いますが,
”もともとの骨の形かもしれない”
可能性もあるということは
知っておいていただきたいと思います。

