もくじ
痛いほど効くというのは本当か?
整体やマッサージで,
痛みを伴う施術を受けたことはありませんか?
「痛いけど,効いている感じがする」
「これだけ痛い思いをしたんだから,きっと良くなるはず」
そんなふうに考える方もいると思います。
しかし,
施術の痛さと,効果の高さは必ずしも比例しません。
実は,
私たちの身体には,さまざまな刺激によって
痛みの感じ方が変化する仕組みが備わっています。
強い刺激で痛みが軽くなる理由
まず,
「DNIC(広汎性侵害抑制調節)」
という仕組みがあります。
少し難しい名前ですが,簡単に言えば,
「痛みが,別の痛みを抑える」
という現象です。
例えば,
身体のある部分に痛みがあるとき,
別の場所に痛みを伴う刺激を与えると,
最初の痛みが弱く感じられることがあります。
これは,脳や脊髄などの神経系が,
痛みの情報を調節しているためです。
人間では,この現象を
「CPM(条件刺激性疼痛調節)」
として研究しています。
つまり,
痛みを伴う施術によって楽になる場合,
こうした神経系の働きが
関係している可能性もあるのです。
そして重要なのは,
痛みが軽く感じられることと,
痛みの原因となっている問題が改善したことは,
必ずしも同じではない・・・という点です。
弱い刺激でも痛みは軽くなる
一方,痛みを伴わない刺激でも,
痛みが軽くなることがあります。
その説明に使われるのが,
1965年に提唱された
「ゲートコントロール理論」です。
例えば,肘をぶつけて痛いとき,
無意識にその場所を
手でさすることがありますよね?
すると,不思議と痛みが和らぐことがあります。
これは,皮膚への触覚刺激が,
脊髄での痛みの情報伝達を
抑える仕組みで説明できます。
つまり,
痛みを軽くするために,
必ずしも強い刺激や痛みを伴う刺激が
必要ではないのです。
アルント・シュルツの法則
もう一つ,
「アルント・シュルツの法則」
という古典的な考え方があります。
これは,刺激の強さによって
生体の反応が変化するというものです。
一般的には,
- 弱い刺激は生理機能を促進する
- 中程度の刺激はさらに促進する
- 強い刺激は生理機能を抑制する
- 非常に強い刺激は生理機能を停止させる
と説明されます。
つまり,強い刺激や非常に強い刺激は,
痛みが一時的に抑制される場合があるのです。
ここで知っていただきたいのは,
痛い施術を受けて楽になったとしても,
その痛みの軽減には,
神経系による一時的な痛みの抑制が
関係している可能性があります。
つまり,痛みが減ったことだけでは,
身体の問題そのものが
改善したとは判断できないのです。
強い施術で楽になっても,その効果は続く?
実際に,
マッサージの圧力の違いを調べた研究もあります。
2022年に発表された研究では,
腰痛のある女性56人を対象に,
強い圧力と弱い圧力のマッサージを比較しました。
その結果,
施術期間の終了時点では
強い圧力の方が痛みの軽減に優れていました。
しかし,
その4週間後の追跡調査では,
両者の痛みの程度に差は
認められませんでした。
つまり,
強い刺激によって短期的に
痛みが軽減する場合があっても,
長く続くとは限らないということです。
当店が痛い施術を行わない理由
当店が重視しているのは,
施術中にどれだけ強い刺激を
与えたかではありません。
施術によって
身体がどう変化したのか?
そして
その変化がどれだけ続くのか?
そこを重視しています。
施術中の痛みの強さよりも,施術後に身体がどう変化したか。
そして,翌日以降も楽な状態が続いているか?
施術の良し悪しを判断するうえでは,
そうした変化に目を向けてみてはいかがでしょうか?
